東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン「オーナー取材レポート ~株式会社アウトソーシング~」

2020/10/21

 

オーナー取材レポート ~株式会社アウトソーシング~

設定来、様々な局面でも良好な運用実績を実現してきた「東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン」。
当ページでは、強力なリーダーシップを発揮して急激な事業環境の変化に立ち向かっている、注目のオーナー経営者を取材した内容を紹介します。

代表取締役会長兼社長 土井春彦 氏
株式会社アウトソーシング
製造業を中心に、幅広い業種において人材紹介、派遣、業務請負を展開。近年では海外事業も拡大

【銘柄コード:2427】
〈組入比率〉2.13% 〈上場市場〉東証第一部 〈業種〉サービス業 〈時価総額〉1,219億円
  • ※組入比率はファンドの純資産総額に占める割合、業種は東証33業種区分に基づく。数値は9月末時点。

 

土井 春彦 氏
1959年3月6日、京都府生まれ。
株式会社アウトソーシングの前身である株式会社中部綜合を1987年に設立。
1989年に株式会社リアルタイムへと商号変更し、1997年に株式会社アウトソーシング創業。

注目ポイント

同社は1997年に、静岡県にて土井会長が設立。製造業を中心に、幅広い業種において人材紹介、派遣、業務請負を展開、売上は2010年の284億円から2019年には3,612億円に拡大するなど急成長を遂げた。
更に中期経営計画では2024年に売上を8,200億円まで拡大する野心的な目標を掲げる。
今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人材派遣ビジネスは逆風に晒されるようにも見えるが、同社はどのように乗り越えるのか、土井会長にお話を伺った。

新型コロナの影響は?

「4-6月期は影響が避けられなかった。今期については業績見通しを下方修正したが、来期以降は回復し、中期目標の達成については自信を持っている。(土井会長)」

同社の事業は大きく国内、海外に分けられ、売上割合もほぼ半々だ。回復はどういったシナリオで描かれているのか。
まず、国内事業においては、同社の開発したシステムが採用拡大し、派遣増加につながる見通しのようだ。

「国内製造業系の請負事業については、コロナ前後で大きく環境が変化した。コロナ前は人が足りない、完全な売り手市場だったが、今は受注競争に変わり、メーカーの課題に対してピンポイントの提案が必要となった。」

「当社はこうした環境下で優位な状況になった。メーカー側はテレワークを進めるため、管理部門社員の出社率を下げたいが、大きな労務管理業務の負担があり、困難な状況を抱えていた。当社の提案するシステムを導入頂くことでこの状況が解消できる。」


従来のシステムは行政への提出書類を軽減できるが、労務管理部門の出社率の引き下げにはつなげられない。同社のシステムの魅力は、従来と違った切り口で、製造派遣の管理煩雑に着眼したことだ。システムの導入が業績拡大につながるのか?

「システム導入だけで成長しようとは考えていない。その先の受注競争で勝ち残っていくのが目的だ。当システムはメーカーのクラウドに導入するので、セキュリティーの観点などから、メーカー側は複数の人材派遣業者の活用は難しい。システムを導入している当社に最初に引き合いがくると考えている。」
「今まで10社~20社の業者に発注していたメーカーも、今後2~3社へと発注先を絞っていくとみている。既に淘汰は始まっている。コロナで一旦、生産停止していたメーカーもリスタートを計画しており、提案も受け入れられやすいタイミングだ。」


今後、土井会長は人材派遣市場で大手数社への集約が進むと見ており、同社はシステムの導入から他社の淘汰を狙っていく戦略のようだ。
なお、同社の国内事業は製造業以外にも、ハイテク、医薬品関連の企業や米軍施設など取引先も多様で、これらの事業セグメントについては、コロナの影響は小さく、全般的に好調とのこと。

海外事業の見通しは?

 

「英国では政府系業務の請負が中心。国の財政の問題で、民間委託が進む流れに乗った事業だ。また、オーストラリアでは金融系エンジニアの事業を展開。同国では金融システムの転換サイクルが早まっており、対応するシステムエンジニアが足りない状況。コロナ禍で短期的な影響は出たが、大きな流れは変わっておらず、解約は出ていない。」
「ドイツでは製造系、オランダではサービス系の事業が中心だ。ドイツは航空機メーカーの契約があるが、厳しい。オランダのEコマース向けの派遣請負はコロナを機に大きく成長しており、同ビジネスをドイツに持ち込み、受注も実現し、見通しも立ちつつある。」


同社の海外ビジネスは、欧州が中心のようだ。欧州では新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されているが、備えは充分なのだろうか。

「新型コロナウイルスが最初に感染拡大した時は、ノーガードのところに打ち込まれたが、リモートでの業務請負対応など進めており、次に都市封鎖など発生しても、影響はある程度抑えられると考えている。」

英国ではコロナの影響で政府業務の民間委託が拡大するなど、新たな成長機会も生じているという。

創業以来、困難と感じた局面は?

「苦労したことといえば、上場を目指していた時期。製造派遣のビジネスは当時、世の中で認知がされていなかった。過去の話になるがブラックな業界のイメージすらあった。業界のイメージを大きく変えたいと思い、透明性も担保出来るよう、上場を目指した。
やはり上場会社がない業界というのはダーティなことが起きていた。ダーティな部分を価格競争の財源にしているところもあった。我々はそうした要素を一切排除しながら上場を目指し、価格競争に勝てない時期もあった。今思えば、その時が一番苦しかった。」


リーマンショックやコロナショックについては、どのようにお考えなのだろうか。

「もともと、我々のビジネス、売上、利益は軽量経営で成り立っている。製造業のように土地を買い設備投資し、原料を調達して、ということ一切なく減価償却もなく成り立つ事業。世の中が不況になっても、比較的好調な産業を取引先として身軽に進出できるので、案外大きなダメージは受けない。過去そうしてすべての不況を乗り越えた。
環境に変化が生じた時にも、どこかに必ずニーズがあり、好調な産業を見抜いて、乗る。身軽なので新たな産業に乗りやすく、そんなに苦労したという印象は持っていない。
「今回のコロナショックについても、こうした環境で生まれた新たなニーズを我々はそれなりに取りこめたと考えており、今年こそ下方修正したが、修正予算はクリアできると考えており、来期から中計の予算に戻していくので、ダメージは感じていない。」


創業の苦労を知る歴戦の土井会長にしてみれば、リーマンショックやコロナショックは、新たなニーズが生まれるビジネスチャンスに過ぎないようだ。

長期的な展望は?

 

「我々のビジネスには、人口が増加する環境が必要。そのために、さらに世界を見据える必要がある。」

「日本は人口減の状況にある。移民の受け入れが進めば気にならないが、それもまだ厳しく、中長期的な構造的不透明感がある。世界で増加する人口が我々の成長のポテンシャルと捉え、移民受け入れに寛容な国で発展している産業に人材提供サービスを展開していく。

「当社にはその体制が整っている。」


我々は土井会長から様々な話を伺い、強力なリーダーシップ、長期的に成長を追求するビジョン、外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる強靭さを再確認することが出来た。


  • ※上記に記載の銘柄は、2020年9月末時点の保有銘柄から一例として記載したものであり、当ファンドへの今後の組み入れを示唆・保証するものではありません。また、これらの銘柄の売買を推奨するものではありません。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果や動向などを示唆・保証するものではありません。

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