東京海上・がんとたたかう投信「がんとたたかう通信 vol.2」

当資料は、ファンドの主要投資対象である外国投資証券「カンドリアム・エクイティーズ・L・オンコロジー・インパクト」の運用会社であるカンドリアム・ベルギー・エス・エー(カンドリアム社)の2020年6月16日時点の情報に基づくコメントを基に東京海上アセットマネジメントが作成しています。

2020/07/01

米国臨床腫瘍学会(ASCO)で注目の医薬品②

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東京海上・がんとたたかう投信(為替ヘッジなし)(年1回決算型)/(為替ヘッジあり)(年1回決算型)は、「がんを治したい」— この願いをかなえるために挑戦する企業を応援したいという思いから誕生しました。
本レポート「がんとたたかう通信」では、飛躍的な拡大と進歩を遂げるがん治療の現状と今後の展望などをご紹介していきます。

今回は、「米国臨床腫瘍学会(ASCO)で注目の医薬品②」です。

 

2020年5月末から6月初めにかけて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が開催されました。ASCOは、参加者から最新のがん治療に関する研究成果の発表がされることなどから、臨床腫瘍学の分野で最も重要な会議とされています。今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンラインで開催されましたが、昨年までに劣らぬ熱気で多くの研究成果が報告され、がん治療におけるイノベーションの進展を印象づけました。


本レポートでは、ASCOでの報告のうち、がん治療において革新をもたらす可能性のある治療薬を2回シリーズでご紹介します。
今回は、イギリスの製薬大手アストラゼネカのタグリッソについてご紹介します。

  • ※ アストラゼネカは、ファンドの主要投資対象である外国投資証券「カンドリアム・エクイティーズ・L・オンコロジー・インパクト」の2020年5月末時点の保有銘柄です。
  • ※ 上記は個別銘柄への投資を推奨するものではありません。また、今後のファンドへの組み⼊れを保証するものではありません。


タグリッソ
(開発企業:アストラゼネカ 組入比率:2.3%)
※ 組入比率は2020年5月末時点。「カンドリアム・エクイティーズ・L・オンコロジー・インパクト」の純資産総額に占める割合です。

アストラゼネカは、3兆円規模の売上を誇る世界的大手製薬企業で、本社はイギリスにあります。がん、心臓病等、重要な疾病分野で主力薬を有しています。
同社のタグリッソは、肺がんの後期治療で国内で既に承認済みで、効果的な治療薬であることが証明されています。

タグリッソとは?

タグリッソは、代表的なEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の一つです。
細胞内のEGFR遺伝子が変異を起こすと、がん細胞を増殖させるシグナルが出てしまいますが、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬には、この伝達を止める効果があり、がん細胞の増殖を抑制することができます。この細胞内のEGFR 遺伝子変異は、特に肺がんの遺伝子検査で多く見つかります。

■EGFR 遺伝子変異■

「EGFR」とは「上皮成長因子受容体」のことで、細胞増殖を促すたんぱく質です。がん細胞の表面にも多く存在しています。通常、EGFRに成長因子が結合することで細胞を増殖させるスイッチが入りますが、EGFR遺伝子に変異があると、成長因子と結合していなくても細胞を増殖させるスイッチが常に入った状態となることから、がん細胞が限りなく増殖してしまいます。


EGFRチロシンキナーゼ阻害薬と「がんとたたかう通信 vol.1」でご紹介した免疫チェックポイント阻害薬は、抗がん剤とは異なり、分子標的薬に該当します。
従来、がん治療に使用されてきた抗がん剤は”細胞にダメージを与える薬”であるため、がん細胞のみならず、正常な細胞にもダメージを与えてしまい、重篤な副作用が多いことが欠点でした。
そこで、がん治療の新たな潮流として、がん細胞の持つ特定の分子を標的としてがん細胞を攻撃する分子標的薬の開発競争が近年激しくなっています。

EGFR遺伝子変異の非小細胞肺がんにおいて圧倒的な効力を示す

治癒のイメージ

アストラゼネカは、EGFR遺伝子変異の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした臨床試験を実施し、根治的に腫瘍を完全切除した早期ステージの患者に、術後補助療法としてタグリッソを投与する治療を行いました。

がん細胞は、しばしば治療に順応し、細胞が成長し続けるための新しい方法を見つけていくことから、がんは治療が難しい疾患です。がん細胞が生き残った箇所が多いほど、がんの制御または治癒が困難になっていきます。これが、がんを早期に検出することが重要である理由です。早期の段階では、疾患の負担がまだ少なく、一般的に体内でのがん細胞の組織構造がより均一であることから、治癒の可能性が高まります。


このことは、今回の臨床試験で実証されました。結果は極めて良好であり、同社は、タグリッソを投与したグループの再発または死亡リスクを83%減少させ、無病生存期間(他の病気またはがんの再発がなく生存する期間)の延長が示されたと発表しました。


タグリッソはすでに局所進行性または転移性の患者に効果的な治療法であることが証明されていますが、今回の臨床試験の治験責任医師は「がんの切除手術及び術後の化学療法を問題なく終えてもなお再発率が高い、早期ステージの患者の治療に変革をもたらすと言える。」と述べており、がんを「慢性疾患」とするだけでなく、「治癒」までも実現するという夢が一歩近づくことが実証されました。

タグリッソの売上の更なる押し上げを期待

アストラゼネカの株価の推移

 


タグリッソの売上高は、2019年に30億米ドル(約3,219億円)を超えています


臨床試験の実証により、急成長しているタグリッソの売上をさらに大きく押し上げることができると期待しています。


また、アストラゼネカは、①医薬品の供給、②マスクの寄付、③医療従事者向けの最新かつグローバルな科学的知見の共有、④診断検査薬・ワクチン・治療薬の開発、の4つの取り組みを通して新型コロナウイルス対策も進めています。
6月上旬には、英オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、従来の生産計画から倍増し、2020年から2021年にかけて20億回分の生産が可能になるとの見通しを発表しました。更に、6月下旬には、新型コロナウイルスワクチンの日本国内における供給について、日本政府と具体的な協議を進めることで合意したと発表しています。
がん治療薬のみならず、ワクチン開発の側面からも、同社の今後の成長が期待されます。

  • ※ 1米ドル=107.32円(2020年6月16日時点)で円換算(対顧客電信売買相場の仲値(TTM)を使用)
  • ※ 上記は過去の実績であり、将来の運⽤成果等を⽰唆・保証するものではありません。


  • ※ 上記は、当資料作成時点のカンドリアム社の⾒通しであり、将来の市場環境の変動等により変更される場合があります。

がんとたたかう通信 vol.3 「イノベーションが進む医療機器」

がんとたたかうイメージ

ここまで本レポートをご覧いただきありがとうございます。
次回もぜひがん治療の未来にお付き合いください。

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