2020/07/01
東京海上・がんとたたかう投信(為替ヘッジなし)(年1回決算型)/(為替ヘッジあり)(年1回決算型)は、「がんを治したい」— この願いをかなえるために挑戦する企業を応援したいという思いから誕生しました。
本レポート「がんとたたかう通信」では、飛躍的な拡大と進歩を遂げるがん治療の現状と今後の展望などをご紹介していきます。
今回は、「米国臨床腫瘍学会(ASCO)で注目の医薬品②」です。
2020年5月末から6月初めにかけて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が開催されました。ASCOは、参加者から最新のがん治療に関する研究成果の発表がされることなどから、臨床腫瘍学の分野で最も重要な会議とされています。今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンラインで開催されましたが、昨年までに劣らぬ熱気で多くの研究成果が報告され、がん治療におけるイノベーションの進展を印象づけました。
アストラゼネカは、3兆円規模の売上を誇る世界的大手製薬企業で、本社はイギリスにあります。がん、心臓病等、重要な疾病分野で主力薬を有しています。
同社のタグリッソは、肺がんの後期治療で国内で既に承認済みで、効果的な治療薬であることが証明されています。
■EGFR 遺伝子変異■
「EGFR」とは「上皮成長因子受容体」のことで、細胞増殖を促すたんぱく質です。がん細胞の表面にも多く存在しています。通常、EGFRに成長因子が結合することで細胞を増殖させるスイッチが入りますが、EGFR遺伝子に変異があると、成長因子と結合していなくても細胞を増殖させるスイッチが常に入った状態となることから、がん細胞が限りなく増殖してしまいます。
アストラゼネカは、EGFR遺伝子変異の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした臨床試験を実施し、根治的に腫瘍を完全切除した早期ステージの患者に、術後補助療法としてタグリッソを投与する治療を行いました。
がん細胞は、しばしば治療に順応し、細胞が成長し続けるための新しい方法を見つけていくことから、がんは治療が難しい疾患です。がん細胞が生き残った箇所が多いほど、がんの制御または治癒が困難になっていきます。これが、がんを早期に検出することが重要である理由です。早期の段階では、疾患の負担がまだ少なく、一般的に体内でのがん細胞の組織構造がより均一であることから、治癒の可能性が高まります。
タグリッソの売上高は、2019年に30億米ドル(約3,219億円)を超えています。
臨床試験の実証により、急成長しているタグリッソの売上をさらに大きく押し上げることができると期待しています。
また、アストラゼネカは、①医薬品の供給、②マスクの寄付、③医療従事者向けの最新かつグローバルな科学的知見の共有、④診断検査薬・ワクチン・治療薬の開発、の4つの取り組みを通して新型コロナウイルス対策も進めています。
6月上旬には、英オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、従来の生産計画から倍増し、2020年から2021年にかけて20億回分の生産が可能になるとの見通しを発表しました。更に、6月下旬には、新型コロナウイルスワクチンの日本国内における供給について、日本政府と具体的な協議を進めることで合意したと発表しています。
がん治療薬のみならず、ワクチン開発の側面からも、同社の今後の成長が期待されます。
ここまで本レポートをご覧いただきありがとうございます。
次回もぜひがん治療の未来にお付き合いください。
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