2020/06/25
東京海上・がんとたたかう投信(為替ヘッジなし)(年1回決算型)/(為替ヘッジあり)(年1回決算型)は、「がんを治したい」— この願いをかなえるために挑戦する企業を応援したいという思いから誕生しました。
本レポート「がんとたたかう通信」では、飛躍的な拡大と進歩を遂げるがん治療の現状と今後の展望などをご紹介していきます。
今回は、「米国臨床腫瘍学会(ASCO)で注目の医薬品①」です。
2020年5月末から6月初めにかけて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が開催されました。ASCOは、参加者から最新のがん治療に関する研究成果の発表がされることなどから、臨床腫瘍学の分野で最も重要な会議とされています。今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初めてオンラインで開催されましたが、昨年までに劣らぬ熱気で多くの研究成果が報告され、がん治療におけるイノベーションの進展を印象づけました。
ロシュ・ホールディングは、スイスの製薬大手で、心血管疾患、伝染病、自己免疫疾患などの疾病に関する処方薬を開発し、自己免疫疾患抗がん剤や診断薬で高い技術を有しています。
同社が開発するチラゴルマブは、世界的に多くの人が罹患している肺がんの治療において、将来的に重要な役割を果たすことが期待されています。
■免疫チェックポイント阻害薬■
私たちの免疫システムは、過剰な免疫反応で自らの健康な細胞まで傷つけてしまわないよう、「免疫チェックポイント」で免疫細胞にブレーキをかけ、免疫のバランスを維持しています。がん細胞はこの仕組みを利用し、免疫チェックポイント分子と結合することで免疫細胞の活動を弱め、がん細胞を攻撃できないように免疫細胞にブレーキをかけてしまいます。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫チェックポイント分子、若しくはがん細胞に結合することで、がん細胞がかけているブレーキを解除し、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬剤です。
承認済み免疫チェックポイント阻害薬の代表的なものとして、オプジーボやキイトルーダなどがあります。
ロシュ・ホールディングは、非小細胞肺がんの一次治療における、同社の承認済免疫チェックポイント阻害薬テセントリク(*)/チラゴルマブの併用療法と、テセントリクの単剤療法を比較した臨床試験結果を発表しました。
米国で毎年診断されている肺がんの症例は22万件を超えますが、そのうち約84%が非小細胞肺がんであり、治療薬の開発は重要と考えられています。
今回の非小細胞肺がん治療における抗TIGIT抗体薬チラゴルマブの有望なアップデートを受けて、抗TIGIT抗体薬の市場は非常に重要である可能性が示されました。次の段階のフェーズ3の臨床試験で最良の結果を示した医薬品は、米国だけでも10億米ドル(約1,073億円)の売上が期待でき、世界的に見ると更なる販売の上積みも期待されます。加えて、他の種類のがんに対する有効性も試験され、さらに市場が拡大する可能性があります。
抗TIGIT抗体薬の市場拡大に大きな期待が持てたことから、ファンドでは、ロシュ・ホールディングと同じく抗TIGIT抗体薬を開発するアーカス・バイオサイエンシズを5月に組み入れました。
また、アーカス・バイオサイエンシズについては、米大手バイオ医薬品メーカーであるギリアド・サイエンシズが抗TIGIT抗体薬を含んだ共同開発契約を締結するなど、医薬品業界において同社への注目が高まっています。
ここまで本レポートをご覧いただきありがとうございます。
次回もぜひがん治療の未来にお付き合いください。
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