2020/11/12
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当資料は、 2020年11月9日時点の各種報道発表及びファンドの主要投資対象である外国投資証券「カンドリアム・エクイティーズ・L・オンコロジー・インパクト」の運用会社であるカンドリアム・ベルギー・エス・エー(カンドリアム社)および東京海上アセットマネジメントの見解を基に作成しています。今後の情勢変化などにより記載の内容は変更となる場合があります。
米国大統領選は民主党のバイデン氏が実質的に勝利
激戦州をバイデン氏が制し勝利宣言
- 今回の米国大統領選は事前予想に反して接戦となりましたが、現状ではバイデン氏の次期大統領の当選がほぼ確実とみられる状況です。連邦議会選挙ではまだ不確定要素が残るものの、上院が共和党優勢、下院は民主党優勢な「ねじれ」状態になる可能性が高いとみられています。
- バイデン氏の勝利が確実になったと複数のメディアが報道したことを受けて、バイデン氏は勝利宣言を行いましたが、トランプ氏は選挙に不正があると訴え、敗北宣言はせず、最高裁での法廷闘争を示唆しているため、大統領が最終決定するには時間がかかる見込みです。
上院は共和党が過半数獲得の見通し。ねじれ解消の可能性は低下
- 一方、連邦議会選挙は共和党が上院で過半数の議席を維持し、民主党が下院で過半数の議席を維持する見通しです。上院は接戦が続いており、場合によっては来年1月まで決着が持ち越される可能性は残るものの、上院で民主党が多数を占める公算は低いとみています。
上院「共和党」/下院「民主党」のねじれ状態の継続で、一部の政策の実行は不透明に
- 従来、バイデン氏はトランプ氏よりも大胆な財政支出案を提示してきました。超党派の米調査機関「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」によると、財政支出額はインフラ投資(4.45兆米ドル)や育児・教育(2.7兆米ドル)を含め、10年間で10兆米ドルに達する見込みです。一方、この提案の実現には巨額の財源も欠かせず、増税規模は10年間で4.3兆米ドルと試算されています。また、バイデン氏は金融規制の強化や、巨大企業の解体/権益の縮小といった社会政策を標榜しており、選挙中は注目を集めるとともに市場には懸念の声も出ていました。
- ただし、上記のように、上院で民主党が過半数を上回る可能性が後退したことに加えて、今回の選挙全体を通じても、バイデン氏の政策に関しては賛否拮抗している民意が示されたことから、来年以降の新大統領の政策運営に関しては議会や民意に配慮した穏健な政策の様相が強まる可能性が高いと考えられます。具体的には大規模な増税や、バイデン氏が示唆しているグラス・スティーガル法(※)の復活などの金融規制の強化ならびに、巨大企業の解体などの政策の実現可能性は低くなり、むしろ財政・金融政策に大きな変更はないと予想します。
※1933年に成立した米国銀行法。銀行の証券引受業務や株式の売買を禁止するなど、銀行業務と証券業務の分離を定めた条項を指すことが多い。世界大恐慌の反省から、預金者保護・銀行経営の健全性確保を目的として制定された。1999年に成立した金融制度改革法によって、グラス・スティーガル法の銀行業と証券業の分離条項が廃止された。
- ※ 上記は過去の実績および将来の見通しであり、将来の市場動向やファンドの運⽤成果等を⽰唆・保証するものではありません。
バイデン次期政権により、ヘルスケアセクターに対する懸念は後退
- 今回の米国大統領選で、民主党のバイデン氏が実質的に勝利したことで、医療制度改革は重要な論点になると考えられます。しかし、医薬品の費用引き下げなどの改革の実現は現状では現実的ではなく、カンドリアム社としては、がん関連企業を含むヘルスケアセクター株には今回の大統領選の結果はポジティブに影響すると見ています。
- また、米国上院の結果が、共和党のわずかの過半数または同数(50/50)となった場合でも、民主党のナンシー・ペロシ下院議長が訴える薬価法案のようなヘルスケアセクターにとってネガティブに影響することが想定される議論はすでに除外されており、上院財政委員会のチャック・グラスリー委員長(共和党)と民主党幹部ロン・ワイデン議員のような、穏健・超党派の提案に取って代わられると見ています。さらに、共和党が現状過半数を握る上院は、このような厳しい改革案は受け入れられないと考えます。
- さらに、民主党が上院で過半数を握った場合でも、重要法案の可決に必要な60議席には達していないことから、画期的な法案を可決することは出来ない状態が続くと考えられます。加えて、たとえ過半数を占めていたとしても、一部の提案はより保守的な民主党議員の100%の支持を得られない可能性があり、法案を通過させるために必要な投票数に満たない可能性が十分にあります。今回の選挙結果を受け、メディケア(米国の高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の適格年齢を引き下げるなどの若干の変化をもたらす可能性がありますが、メディケアが薬価交渉を直接行うなどの大きな改革にはつながらないと見ています。
- 結論として、上院で主導権を得ることが難しい状況下でのバイデン次期政権は、バイオテクノロジーおよびヘルスケアセクターにとっては、大幅な法改正などのリスクは大きく後退したと見ています。

- 出所:ブルームバーグ
- ※ 世界株式:MSCI ワールド・インデックス(配当込み)、世界ヘルスケア株式:MSCI ワールド・ヘルスケア・インデックス(配当込み)
- ※ 上記は過去の実績および将来の見通しであり、将来の市場動向やファンドの運⽤成果等を⽰唆・保証するものではありません。

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