2020/06/22
2月下旬以降新型コロナウイルスの感染拡大からその後の収束に向かう中、ヘルスケア関連施設ではどのような変化が生まれたのでしょうか。
◆IT化によるオペレーションの進化
遠隔治療は、一人でも多くの傷病者に対して最善の治療を行うため、傷病者の緊急度に応じた搬送や、治療の優先順位を判断し、入居者・患者、職員をより安全に保つことを可能にしました。今後もこのようなIT化が進展するとみています。
人々の移動が制限されるなか、バーチャル空間にて、高齢者施設等のサービスやアドバイス、ケアを効果的に提供することが可能になりました。例えば、多くの施設運営者(オペレーター)が新規入所希望者のためのバーチャルのツアーを開始した他、施設利用者が施設外の社会とのコミュニケーションを維持するためのテクノロジーが導入されています。
医療用ビル・病院、高齢者向け住宅では、感染者ケア、予防・安全対策強化等、迅速な対応が迫られるなか、オペレーターは、適切な人員配置、検査、物資供給、感染状況の管理等に取り組んできました。これらの新しいオペレーションを駆使することで、今後感染の第二波がきても、ネガティブな影響を軽減する体制が整いつつあるとみています。
◆今後の成長が期待されるライフサイエンス
ライフサイエンス分野の不動産では、バイオテクノロジー企業や製薬企業等がテナントとして入居し研究開発等を行っています。
ヘルスピーク・プロパティーズやベンタスは以前よりライフサイエンス分野を重要な成長分野と位置付け、重点的に投資を行ってきました。新型コロナウイルスの拡大を受け、今日における感染症の脅威が一層世界的に認識されたと考えられ、感染症のワクチンや治療開発の領域でもライフサイエンス分野の不動産需要が高まることが期待されます。
新型コロナウイルスの世界的な流行により、ヘルスケアREITの保有する物件への影響もみられますが、ヘルスケアREITおよびオペレーターは、保有施設およびその運営を強化するための積極的な行動をとっており、投資環境は新型コロナウイルス感染拡大初期と比較し、少しずつ改善されているとみています。
◆米国ヘルスケアREITの配当利回り
期間: 2006年6月~2020年6月、月末ベース 月次
◆稼働率
◆他セクターとの比較・優位性
グローバルヘルスケアREITの配当利回りは、2019年12月末時点との対比でみても、小売REITに次ぐ水準となっており、依然高い水準にあります。
米国では今後20年間、80歳以上の人口増加が予測されており、この人口構造がヘルスケア関連施設への需要をさらに高め、米国ヘルスケアREITの成長を後押しするとみています。
一般的にオペレーターとの契約期間がオフィスや小売りと比較し、長期間となっているため、安定した収入が見込めます。
コロナ禍の影響を踏まえて、連邦政府と州政府の両方からオペレーターへの助成金等の支援が行われています。
◆P-NAV倍率
期間:2009/8~2020/5
◆シナリオ別
新型コロナウイルスが順調に収束
ヘルスケアREIT市場は、当面回復傾向が続くとみられます。ただし、新型コロナウイルス流行以前のレベルに戻る時期は、各ヘルスケアREITの資産構成や地域によって異なる可能性があります。
感染拡大の第二波が到来
オペレーター側のキャッシュフローや経済活動への懸念が再び浮上するため、ヘルスケアREITは値動きの大きくなる状況が予想されます。しかし、オペレーターはそのような感染拡大の第二波に対して、適切な人員配置、検査、必要物資供給、感染状況の管理、各種プロトコル(例として、訪問者の制限や、ウイルス感染者のより効果的な隔離対策)等を準備する時間があり、第一波と比較して、建物内での感染拡大を含め、ネガティブな状況を緩和することが出来ると予想しています。
◆中長期的な見通し
米国ヘルスケアREITは、コロナショックによる価格下落を受け、配当利回りが上昇しており、割安感が高まっていますが、新薬の開発等により感染流行が収束に向かうにつれて、コロナショック以前の傾向・トレンドを取り戻し、さらにはヘルスケアREITとしての収益成長が見込まれると予想しています。
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