2020/09/09
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本レポートでは、新型コロナウイルスの影響を相対的に大きく受けたグローバルヘルスケアREITの、足元の投資環境や今後の見通しについて主要REITにおける稼働率や賃料収受率などの状況も含めてお届けいたします。
グローバルヘルスケアREIT市場および当ファンドの運用状況について
【市場環境】 ~ 新型コロナウイルスの影響により大幅に調整後、世界株式を上回る上昇 ~
グローバルヘルスケアREIT市場は、高齢者向け施設や看護施設など新型コロナウイルスの影響が相対的に大きいことが懸念され、2月下旬以降大幅に下落しました。しかし、その後は高齢者向け施設等において、ソーシャルディスタンスの確保、隔離対応等の安全対策が積極的に実施されたことで、新型コロナウイルス感染者の発生施設数は減少傾向 にあり、懸念されていた稼働率、患者数、入居数も改善傾向にあります。こうした中、世界的に市場が回復傾向となった3月18日~9月4日までのグローバルヘルスケアREIT市場は+70.7% となり、世界REIT(+32.2%)、世界株式(43.9%)を上回る上昇となりました。(米ドルベース。)
【当ファンド】 ~ 医療用ビルやトリプルネットリース形態*を有する看護施設を重視したポートフォリオに ~
当ファンドでは、今後の高齢者向け施設や看護施設の回復を見据え、魅力的なバリュエーション水準と、より多くの賃料収受が期待されるトリプルネットリース構造に着目し、医療用ビルや看護施設、3大ヘルスケアREIT(ベンタス、ウェルタワー、ヘルスピーク・プロパティーズ)の比率を高めとしました。個別銘柄では、看護施設を手掛けるサブラ・ヘルスケアリートや3大ヘルスケアREITがパフォーマンスに貢献しました。
*トリプルネットリース形態・・・オペレーターへいわば「⼀棟貸し」を⾏い、施設の経営リスクをREITが負わないビジネスモデル
出所:ブルームバーグ
※使⽤する指数の詳細は、後述の<当資料で使用した指数について>をご覧ください。
※個別銘柄への投資を推奨するものではありません。また、今後の組み⼊れを保証するものではありません。
※上記は過去の情報であり、将来の動向や運用実績を示唆・保証するものではありません。
※上記は当資料作成時点における、当ファンドの実質的な運⽤を⾏うメロン・インベストメンツ・コーポレーションの⾒解を含みますが、内容は将来予告なく変更されることがございます。
新型コロナウイルス感染拡大によるヘルスケアREITへの影響
依然として新型コロナウイルスの感染収束は見通せませんが、世界的に感染防止策などを実施しながら経済活動を徐々に再開していく動きが主流となっています。
■ 米国の新型コロナウイルス感染者数・死亡者数の推移
米国の新型コロナウイルス新規感染者数は、6月下旬以降、再増加し経済活動の停滞が懸念されましたが、
足下では減少傾向にあります。
■ 高齢者向け住宅の稼働率の推移
高齢者向け住宅では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、施設への新規入居者数が低下したことなどから、稼働率の低下がみられましたが、小幅なものにとどまっており、
5月以降の低下スピードは緩やかになっています。
*SHOP形態:REITがオペレーターと共同で施設を運営し、施設運営事業にかかわる経営リスクもREITが負担するビジネスモデル
■ ヘルスケアREIT主要各社の賃料収受率
ヘルスケアREIT各社の、2020年7月の賃料収受率は、5月と比較し
改善傾向 にあり、概ね95%以上を収受できており、
現状では賃料収入の低下は限定的です。
※右表の「高齢者向け住宅」は、オペレーターに対していわゆる「⼀棟貸し」を⾏い、施設の経営リスクをリートが負わないビジネスモデルであるトリプルネットリース形態です。当該月下旬または翌月上旬時点の賃料収受率を表示しています。
*1 ウェルタワーの医療用ビルの賃料収受率は、同社が賃料の支払い猶予を認めた分を含みます。
*2 オメガ・ヘルスケア・インベスターズの5月賃料収受率は公表されていません。
※使⽤する指数の詳細は、後述の<当資料で使用した指数について>をご覧ください。
※個別銘柄への投資を推奨するものではありません。また、今後の組み⼊れを保証するものではありません。
※上記は過去の情報であり、将来の動向や運用実績を示唆・保証するものではありません。
※上記は当資料作成時点における、当ファンドの実質的な運⽤を⾏うメロン・インベストメンツ・コーポレーションの⾒解を含みますが、内容は将来予告なく変更されることがございます。
今後の見通しについて
新型コロナウイルスの影響による、稼働率低下や賃料減額、人件費や安全対策強化によるコスト増などの下押し要因は依然存在します。しかしながら以下の状況を踏まえると
グローバルヘルスケアREIT市場は改善傾向 にあり、中長期的には
コロナショック以前の状況に戻る と考えています。
■ 保守的な配当方針による、
健全な配当成長期待
■ ヒト、モノの移動が再開されたことにより、
医療用ビルにおける患者数の回復 、
病院等による延期されていた手術の再開 、
高齢者向け施設における入居待ちの人々の入居 の動き
■ 施設の新規開発抑制による、
ヘルスケア関連施設の需給の改善
■ 開発中のワクチンについて、早ければ
今秋にも医療従事者や高齢者などが優先的に接種を受けられる可能性
■ 新型コロナウイルス検査の導入による、
ヘルスケアREITが保有する施設環境への信頼の高まりやヘルスケア関連施設への新規入居の促進 に加え、
退去者の抑制 期待
■ 米国政府による景気刺激策により、すでに看護施設に対して50億米ドルを超える資金が拠出されており、今後は
高齢者向け施設に対する拠出が行われる可能性
このような状況下、下記に記載のとおり、ヘルスケアREITの投資妙味は依然として高いと考えます。また、今後も賃料回収状況などの投資環境や、各サブセクターの回復状況に注視しながら、運用を行っていく予定です。
■ 他セクターとの配当利回りの比較
グローバルヘルスケアREITの配当利回りは、2019年12月末時点との対比でみても、小売REITに次ぐ水準となっており、依然高い水準にあります。
■ NAVプレミアムの推移
2020年9月1日時点で、米国ヘルスケアREITのNAVプレミアムは 8.3% と、過去平均の 20.1% を大きく下回る水準となっており、割安感があると考えられます。
※NAV (純資産価値 (Net Asset Value))は、REITの保有資産評価額から、負債額を差し引いた、REITの価値を表す指標です。
※NAVプレミアムはREIT価格と1口あたりNAVの差で、REIT価格の割高割安度合いを測る指標の一つです 。
※使⽤する指数の詳細は、後述の<当資料で使用した指数について>をご覧ください。
※上記は過去の情報であり、将来の動向や運用実績を示唆・保証するものではありません。
※上記は当資料作成時点における、当ファンドの実質的な運用を行うメロン・インベストメンツ・コーポレーションの見解を含みますが、内容は将来予告なく変更されることがございます。
■ 米国ヘルスケアREITと米国10年国債利回り
世界的な景気減速懸念の高まりを受け米国10年国債利回りは史上最低水準を更新し、米国ヘルスケアREITの配当利回りとの差(以下、「利回り差」)は8月末時点で5.2 %となっています。これは、リーマンショックにより世界的に市場が混乱した2009年から、約11年ぶりの水準となっています。
「利回り差」が 3.5 %を上回る水準で米国ヘルスケアREITに投資した場合、過去における1年後の平均リターンは +31.9 %と良好な結果を残しています。過去の動向を勘案すると、米国ヘルスケアREITは今後利回りを求める資金の受け皿として注目を集め、選好される可能性があると考えております。
※使⽤する指数の詳細は、後述の<当資料で使用した指数について>をご覧ください。
※上記は過去の情報であり、将来の動向や運用実績を示唆・保証するものではありません。
※上記は当資料作成時点における、当ファンドの実質的な運用を行うメロン・インベストメンツ・コーポレーションの見解を含みますが、内容は将来予告なく変更されることがございます。
<当資料で使用した指数について>
米国ヘルスケアREIT:FTSE NAREIT Health Care Property Sector Total Return Index
グローバルヘルスケアREIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Healthcare Index TR
小売REIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Retail Index TR
産業・オフィスREIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Industrial/Office Index TR
住宅REIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Residential Index TR
分散型REIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Diversified Index TR
世界株式:MSCI World Net Total Return Index
世界REIT:FTSE EPRA/NAREIT Developed Total Return Index