2022/04/25
トゥルーパニオンは米国のペット保険会社です。米国、カナダ、プエルトリコなどでペット向けの医療保険事業を行っています。
同社は、創業者兼CEO(最高経営責任者)のダリル・ローリンズ氏が10代の時に飼っていた2歳の愛犬が病気になった際、手術費用を払えず愛犬を亡くした経験から、「私たちの愛するペットが最高の医療ケアを受けるための手助けをしたい」という考えのもと、2000年に設立されました。
昨年、株主向けレターの中で2025年に向けた新たな成長戦略を発表していますので、本レポートではその詳細をご紹介します。
トゥルーパニオンは、以下の戦略の実行により、2025年までに年率25%超の着実な売上高成長率を達成することを目標として掲げています。
トゥルーパニオンの強みは、長年蓄積したペットの病気や医療費用に関するデータを保有していることです。こうしたデータを活用して、より多くの飼い主のニーズに対応すべく、「PHI Direct」「Furkin」という従来の「Trupanion」とは保険料と保険対象範囲を変えた新たな商品の販売を開始しました。
また、業務提携などにより販売網も拡大するとしており、既にアフラック(保険会社、米国)やチューイ(ペット用品のオンライン小売会社、米国)との業務提携を発表しています。こうした取り組みは新たな顧客層の開拓や、同社のペット保険事業の拡大に寄与すると考えています。
質の高いペットフードを食べているペットはより長く、健康で、幸せな人生を送るとの考えのもと、トゥルーパニオンはカナダと米国で事業を行っているペット向け治療食メーカーのRayne Clinical Nutrition社と共同で「Landspath」という高品質なペットフードを開発しました。まず同社のペット保険契約者向けに販売を開始し、その後は、同社が長年保険事業で構築した関係を活用して、動物病院などで販売していくとしています。
高品質なペットフードの提供は、ペットが病気になる可能性を抑えることに繋がり、顧客に対してもペットの医療面での費用負担を減らすという大きなメリットを提供できます。こうした取り組みは、更なる売上獲得の機会になると同時に、同社の顧客満足度の向上につながると考えています。
米国では約1億8,000万匹の犬や猫が飼われていますが、そのうち約3分の1が迷子など行方不明になり、その中の80%は飼い主が見つけてあげることができずに保護施設や動物病院に預けられています。こうした問題を解決するため、トゥルーパニオンは、保険事業とは別に新たなビジネスユニットを立ち上げました。ペットの首輪に取り付けられるGPSを利用し、ペットの飼い主が自分の携帯電話のアプリを使用してペットを即座に見つけることが可能となるサービスを提供する予定です。
現時点では、事業の立ち上げ段階ですが、こうした取り組みが将来の成長を加速させる可能性を高めていくと考えています。
テクノロジーへの投資を継続することは事業を拡大する上で重要と考えますが、トゥルーパニオンは、今後も事業拡大のために、同社が長年蓄積してきたテクノロジーへの投資を継続し、競争優位性を強化していくとしています。同時に、構築したテクノロジーインフラを他社へ販売していく可能性も模索する予定です。
将来的に、販売されたペット関連のテクノロジーインフラの利用者が拡大していけば、同社のペット関連業界での存在価値は大きく高まると考えています。
以上の経営戦略が順調に実行されれば、引き続き高い業績成長が期待できると考えています。本戦略は、同社の強みを活かしたものであるため順調に実行されると考えているものの、投資分野が多岐にわたるため、いくつかの戦略の進捗が順調に推移しないリスクには注意が必要です。特に新規事業であるペットフードやペットケア事業の進捗は注意深く見ていく必要があると考えています。
当ファンドは、ペット関連市場の成長の恩恵を受けると考える企業の中から、高い競争優位性を有し、持続的に業績成長できると考える企業を組入れる方針で運用を行っています。米国におけるペット保険の普及率は1~2%程度と英国の25%と比較しても低く、成長余地の大きい市場だと考えています。加えて、同社の競争優位性を活かした経営戦略の実行により、今後の更なる業績成長に期待しています。そのため、短期的にはウクライナ情勢や米国の金融政策の動向に左右され、同社の株価も変動の激しい展開が続くと予想されますが、長期的な視点で保有を継続していく方針です。
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